検査シリーズ2:腫瘍マーカー検査

今回は、早期発見を目的とした血液での腫瘍マーカー検査をご紹介いたします。

腫瘍マーカー検査:Nu.Q® Vet Cancer Test(犬)富士フィルム

採血した血液を用いて実施する検査になります。

この検査は以下の7つの腫瘍を発見する際に有効になります。

リンパ腫、肥満細胞腫、血管肉腫、悪性黒色種、組織球性肉腫、軟部組織肉腫、骨肉腫

腫瘍(がん)が存在する際、

がん細胞由来のヌクレオソームが血中に放出されることが分かっています。

このヌクレオソームを特異的な抗体を用いて腫瘍(がん)を検出する方法になります。

血液検査でできるので、お勧めしやすい検査の1つだと思います。

*引用:富士フィルム『犬のがんに対する血液検査』

注意すべき点としては、以下の内容があります。

1、7つの腫瘍のうちどれかに罹患しているという可能性を教えてくれるものですので、腫瘍の特定はできません。

腫瘍の特定には、麻酔が必要な手術や内視鏡などによる組織生検を行い、病理診断が必要になります。

2、100%の検査ではございません。

特に陰性の場合に、腫瘍がないとは言い切れませんので、注意が必要になります。

一方で、陽性の場合には、検査の特異度が97%になりますので、腫瘍の可能性が高いと判断できます。

3、検査に必要な採血量が2mlのため、超小型犬には注意が必要です。

採血後迅速に検査センターへ依頼をしますので、大型連休や年末年始などは実施できません。

4、わんちゃん(犬)のみで実施ができます。その他の動物種では実施でません。

腫瘍マーカー検査については、早期発見を目的とした非常に実用的な検査です。

健康診断などをご利用の際に、ぜひご検討していただければと思います。

ご不明な点がございましたら、ご診察時にお気軽にご相談ください。

良いお年をお迎えください。来年も宜しくお願いいたします。

アリイ動物病院 院長