消化器疾患シリーズ12:フェレットの下痢

今回はフェレットの下痢についてのお話になります。

皆様は、フェレットの3大疾患はご存知でしょうか。

1、インスリンノーマ:膵臓腫瘍、低血糖を引き起こします。

2、副腎腫瘍:尾をはじめ、背中側を中心に脱毛症を引き起こします。

3、リンパ腫:胃腸の腫瘍、下痢や嘔吐を引き起こします。

3大疾患はすべて特徴的な症状がございますので、

そのうちの1つである『下痢』症状は慎重な対応が必要になります。

今回、ご紹介する『下痢』は、年齢にかかわらず良く見られる症状の1つで、慢性化することも多いです。

下痢の発症要因については、以下の5つが多いので、ご紹介いたします。

1、異物の誤食

2、感染症(寄生虫、細菌、ウイルス)

3、内臓疾患(肝臓、腎臓、膵臓)

4、炎症性腸疾患(IBD)

5、腫瘍性疾患(リンパ腫)

若いフェレットは異物や感染症が多く、

シニアになるにつれて、内臓疾患、炎症性腸疾患、腫瘍の発生頻度が増えてきます。

便検査をはじめ、血液検査、レントゲン検査、超音波検査など活用して診断を行なっていきます。

*当院では、検査を許容できるかは個体差がありますので、1つ1つできる検査から実施していきます。

特に注意が必要な下痢の状態:黒色便(黒色でタール状の便)

胃や小腸での出血が見られると、上記のような黒色便が始まります。

異物からの消化管出血、炎症性症疾患(IBD)、リンパ腫などで見られ、

食欲減退や嘔吐などの症状も認められた場合には注意が必要です。

対処治療で反応が悪い下痢症状の場合には、原因の解明が必要かもしれません。

当院でもお力になれることがございましたら、お気軽にご相談ください。

アリイ動物病院 院長