こんにちは、獣医師の上野です。
今回はいつもと違う内容で、椎間板ヘルニアの疑いがある症例でCT検査によって診断を行なった例をご紹介したいと思います。
動物種:犬 ミニチュアダックスフント
年齢:11歳
体重:5.0kg
主訴:後肢を使って歩けない
触診
触診による疼痛は認められませんでした。
神経検査
両後肢ともに神経反応の減弱が認められました。
固有知覚:0
踏み直り:0
跳び直り:0
痛覚:0
会陰反射:2
レントゲン検査
第5-6腰椎間椎間孔に不透過性亢進が認められました。

CT検査
第5-6腰椎間椎間板の脊柱管への突出・石灰化が認められ、左側での脊髄の圧迫所見が認められました。*黒線で囲った部位


第3-4腰椎間椎間板の脊柱管への突出・石灰化が認められ、右側での脊髄の圧迫所見が認められました。*黒線で囲った部位


責任病変が第5-6腰椎間・第3-4腰椎間の二か所である椎間板ヘルニアと診断しました。
内科治療による反応が乏しかったため、手術による椎間孔の拡大及び突出した椎間板物質の除去を行いました。
現在、リハビリによる治療を継続していますが、徐々に後肢の神経反応と活動性の改善が認められ、経過は良好です。
動物種:犬 トイプードル
年齢:8歳
体重:5.0kg
主訴:元気がなく、震えている
触診
腰部の張り、腰部圧迫による疼痛が認められました。
神経検査
神経反応は全て正常でした。
レントゲン検査
第4-5腰椎間にドーム状の不透過性構造が認められました。
第7腰椎-仙椎間椎間孔の不透過性亢進が認められました。

CT検査
第4-5腰椎間椎間板の脊柱管への突出・石灰化が認められ、左側での脊髄の圧迫所見も認められました。*黒線で囲った部位


第7腰椎-仙椎間椎間板の脊柱管への突出・石灰化が認められ、中央での脊髄の圧迫所見が認められました。*黒線で囲った部位


責任病変が第4-5腰椎間・第7腰椎-仙椎間の二か所である椎間板ヘルニアと診断しました。
内科治療の反応が良好であり、神経反応に異常がないことから治療を継続し、経過観察を行なっています。
1頭目の症例はレントゲン検査所見と一致する部位以外での病変もCT検査で発見することができました。
今回のように椎間板の突出部位の石灰化が強い場合にはレントゲン検査で確認することができますが、軽度の場合は捉えることが難しいケースがあります。
CT検査は今回のような変化も捉えることが可能です。
CT検査だけでは補えないこともあり、脊髄自体へのダメージの評価(炎症など)をするのは苦手で、そこはMRI検査が得意とする分野になります。
しかしながら椎間板ヘルニアの部位・圧迫の有無を特定をすることは可能ですので、症状・内科治療の反応と合わせて外科介入の判断に活かすツールとして有用と考えます。
当院にCTを導入して3ヶ月が経ちました。
外科を担当する立場としてCT検査を活用したより良い手術を提供できるよう努めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
