2026/03/31

軟部外科

軟部外科シリーズ:肛門腫瘍切除

こんにちは、獣医師の上野です。今回は犬の肛門腫瘍の一例をご紹介したいと思います。

患者様情報

動物種:犬

年齢:8歳

体重:17kg

主訴:肛門にしこりが出来ている。

検査

視診

肛門の右側皮膚に腫瘤状構造物を確認しました。

触診

腫瘤状構造物は硬く、辺縁は明瞭でした。

皮下組織への固着は認められませんでした。

周辺のリンパ節の腫脹は認められませんでした。

一年前から存在しており、最近になってじゅくじゅくし始めてかさぶたが付着しているとのことでした。

疑われる疾患

・肛門周囲腺

・肛門周囲腺癌

・その他皮膚腫瘍

今回の症例は未去勢であったため、肛門周囲腺腫だった場合の再発リスクを考慮し、飼い主様と相談の上、去勢手術も同時に実施しました。

手術

手術中に排便によって術野が汚染されないように肛門に巾着縫合を行います。

もしくは摘便を行い、肛門に消毒液に浸したガーゼを詰めます。

通常の腫瘍切除術と同様に切除マージンを確保しつつ、皮膚切開・剥離を行い、切除します。

注意点

肛門周囲の手術は感染を起こしやすいため、切開は最小限にするよう意識しています。

しかしながら悪性腫瘍である場合に充分な切除マージンの確保は重要です。

今回は以下の所見から切除マージンを最小限に止める判断をし、病理組織検査の結果により拡大切除を検討することにしました。

腫瘍が単発生であること

境界が明瞭であること

周辺リンパ節が腫脹していないこと

筋組織への癒着がないこと

切除前の画像です。しこりがあり、自壊しているのが分かります。

切除後の画像です。切除範囲は最小限にとどめました。

病理組織検査結果:肛門周囲腺腫 完全切除

術後の注意事項

肛門嚢切除術と同様に抗生剤を1~2週間投与し、感染をしっかり予防します。

術後の経過

化膿等もなく順調に治癒し、抜糸も予定通りに行えて経過は良好です。

体表の腫瘤でも部位によって様々なものがあり、特徴があります。

経過により悪性に転化するものもあったりしますので、気になることがある際には気軽にご相談ください。

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