2026/06/01

歯科処置

ウサギの不正咬合の一例

こんにちは、獣医師の上野です。今回は軟部外科ではありませんが、ウサギの不正咬合に対する歯切り処置の一例についてご紹介したいと思います。

患者様情報

動物種:ウサギ

年齢:2歳

体重:2.0kg

主訴:両目の内側の皮膚が赤くなっている。

検査

視診

両目の内側皮膚に脱毛、発赤、軽度のびらんを確認しました。

左側上顎臼歯の過長、頬粘膜への伸長を確認しました。

右側下顎臼歯の過長、舌側への伸長を確認しました。

両側上顎切歯・左側下顎切歯の欠損を確認しました。

口腔内の涎の分泌量増加を確認しました。

疑われる疾患

・不正咬合による歯根炎

・流涙による皮膚炎(眼疾患)

・アレルギー等による皮膚炎

顕著な不正咬合と口腔内の涎の増加から歯根炎を第一に疑いました。

ウサギの歯は終生伸び続けます。

通常、臼歯は咀嚼により摩耗し、噛み合わせのバランスを維持しますが、

牧草の摂食量が少ないと咀嚼自体少なくなり、正しい摩耗が出来ないため、不正咬合が発生します。

歯根炎は内服による治療で改善が期待できますが、不正咬合自体を改善しないと再発する可能性が高いため、

全身麻酔下での歯科処置を提案し、了承をいただきました。

歯科処置

上下臼歯の噛み合わせ・前後臼歯の高さが水平になるよう歯を切削・整えていきます。

主にロンジュールやドリルを用いて整復していきます。

注意点

不正咬合が生じている場合、上顎の臼歯は頬粘膜側に、下顎の臼歯は舌側に伸びていきます。

不正な摩耗により歯が尖って形成されることが多いため、頬粘膜と舌に潰瘍が生じることがあります。

上顎は頬側、下顎は舌側から切削し、上下で噛み合うように整えていきます。

丸で囲んでいるのが左側上顎の臼歯です。頬側に尖がって伸長しています。

切削後の画像です。尖っている部分をロンジュールで切断し、ドリルにて水平に整えました。

丸で囲んでいるのが右側下顎の臼歯です。舌側に尖って伸長しています。

切削後の画像です。前後の臼歯の水平性は保たれていましたので、ロンジュールで尖っている部分の切断のみで整いました。

処置後の注意事項

歯を整復してもすぐに歯根炎が改善することはありませんので、一週間ほど抗生剤と抗炎症剤を続けます。

また、ウサギの全身麻酔後は食欲不振が起こりやすいため、必要であれば皮下点滴を行います。

処置後の経過

現在手術後の内服にて経過観察中です。

ウサギの不正咬合は食欲の低下や消化管の鬱滞を引き起こします。

食事を取れなくなるとウサギは見る見る体調が悪化していきますので早期の対応が必要です。

食事の取り方の変化や食欲の低下が認められる場合は早めのご来院をご検討ください。

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