消化器疾患の悩みを通して、良く行う検査の1つに『糞便検査』があります。
今回は、糞便検査で分かることに注目して、その検査方法をご紹介します。
1、直接法(院内検査)
2、浮遊法(院内検査)
3、Real PCR法(外部検査委託)
4、ELISA法(外部検査委託)
上記のように、病院内で行う日常的な検査方法と外部検査に委託する方法に分かれます。
どのような役割を持って、検査を行なっているかをご説明します。
*下痢の症状があることを前提にご説明しますので、予めご了承ください。
日常診察で、すぐ行える検査の1つです。
腸内環境、消化状態を確認する簡易検査になりますが、主観的評価が全てになります。
見るポイントが大切ですので、当院では慎重な解釈が必要な検査としています。
『らせん菌や芽胞菌を代表とする悪玉菌』が増えていないかの確認と、
『腸内環境菌の活性度』の確認を指標にしています。
『脂肪分』の存在、『未消化物』の存在、『繊維質』の存在の確認を指標にしています。
腸内環境や消化状態を知ることは、下痢の原因を探るために、最も大切な検査になります。
この状態から、感染症の存在や胃腸、肝臓、膵臓などの臓器負担を予測していきます。
*主観的評価になりますので、病気の確定はできないことに注意が必要です。
この検査は、寄生虫卵の存在を確認する方法です。
直接法と同じように、簡易にできる検査方法ですが、
検出感度が低いため、繰り返しの検査が必要になります。
1回の検査で陰性でも、糞便から寄生虫が出てきてしまうことが起こります。
これは、糞便の一部を検査しますので、採取した糞便に寄生虫卵が存在しないと検出できません。
つまり、大量寄生されている場合には、検出しやすく、少数寄生の場合には、検出しにくくなります。
細菌感染症やウイルス感染症を見つけるための検査方法です。
非常に優秀な検査方法ですので、当院でも多く委託しております。
直接法では、悪玉菌の種類の同定やウイルスの存在を見つけることはできませんので、
感染症を疑った際に、その根拠を見つけるための検査方法になります。
*上記の感染症は、すべて下痢の原因になる感染症になります。
寄生虫感染症を見つけるための検査方法です。
寄生虫を見つけるための浮遊法の欠点である検出感度を向上させた検査になります。
非常に優秀な検査方法で、2024年夏より検査が可能になった新しい検査になります。
アリイ動物病院では、動物たちに行う検査として、
身体検査、糞便検査、尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを実施します。
下痢の症状の際に最初に行う検査を今回はご紹介しましたが、
糞便検査だけでは判断ができない場合も多く経験します。
その子その子の状態に合わせて、血液検査や画像検査(レントゲン検査、超音波検査)もご案内しております。
1つ1つ丁寧に確認していくことで、必ずその原因の究明につながりますので、
下痢症状でお悩みの場合には、お気軽にご相談ください。
アリイ動物病院 院長