前回に引き続き、レントゲン検査の重要性を実際の画像を通して、ご説明していきます。
病気を見つけるための検査ですが、治療判定のためのレントゲン検査の活用方法をご説明します。
3歳、トイ・プードルの子になります。幼少期より嘔吐、下痢が認められています。
内視鏡検査にて、『リンパ球形質細胞性胃腸炎(IBD)』の診断が出ていましたので、
ロイヤルカナン消化器サポート(低脂肪食)にて治療を開始しました。
『治療前』:胃、小腸ともにガス貯留が明瞭になります。

『治療2ヶ月後』:胃ガスが減ってきており、改善傾向になります。

嘔吐の頻度も減ってきており、レントゲン検査での効果も認められたため、
食事治療が奏功していることが分かりました。
8歳、チワワの子になります。6歳ころより腹痛、嘔吐が認められています。
内視鏡検査にて、『リンパ球形質細胞性胃腸炎(IBD)』の診断が出ていましたので、
ロイヤルカナン消化器サポート(高繊維食)にて治療を開始しました。
『治療前』:胃ガスの貯留が明瞭になります。このガスで腹痛を感じる子もいます。

『治療2ヶ月後』:胃ガスが減ってきており、改善傾向になります。

腹痛の頻度も減ってきており、レントゲン検査での効果も認められたため、
食事治療が奏功していることが分かりました。繊維質の多い食事で、胃腸ガスの改善を認める子もいますが、
悪化することもありますので、ご注意下さい。
5歳、トイ・プードルの子になります。誤って、鳥骨を誤食しています。

鳥骨は胃酸で溶けることが多いですが、
豚や牛の骨については、腸閉塞を引き起こす可能性が高いため、注意が必要です。
鳥骨のため、無治療経過観察としましたが、特に問題なく過ごすことができております。
消化器疾患のうち、特に胃腸炎の問題はレントゲン検査が非常に有効になります。
病気の発見はもちろんですが、食事治療での改善評価にも有効性がありますので、
治療前、治療後のレントゲン検査をお勧めいたします。
アリイ動物病院では、2025年11月よりCT検査設備も導入しましたので、ぜひご活用ください。
今年も1年、ありがとうございました。来年も宜しくお願い申し上げます。
アリイ動物病院
院長 渡部寛之
